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健康診断で知る“不健康なドロドロ血液”
生活習慣病を予防するためには、身体の隅々の毛細血管まで無理なく行き渡る健康なサラサラ血液と、血栓ができないしなやかな血管を常に保ち、いつまでもスムーズな血液の循環を維持することが、最も基本的で大切な予防法となります。
それでは、健康を阻害する不健康なドロドロ血液とはどのようなものか考えてみましょう。

生活習慣病の中の自覚症状のない『高血圧』、『高脂血症』、『糖尿病』、『高尿酸血症』などは、
健康診断の血圧測定と採血検査による
  • 総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール
  • 中性脂肪(トリグリセリド)
  • 空腹時血糖、糖負荷二時間後血糖
  • 尿酸
などの血中濃度によって、
  • 「血圧値」が高ければ、『高血圧症』
  • 「コレステロール値」や「中性脂肪値」が基準値以上の場合は、『高脂血症 (脂質異常症)』 - 2007年4月に『高脂血症』から『脂質異常症』に呼称変更されましたが、呼称と診断項目のわずかな変更のみで症状はまったく同じものですので、ここでは併用しています。
  • 「血糖値」が高い場合は、『糖尿病(高血糖症)』
  • 尿酸値が高い場合は、『高尿酸血症』
と診断されます。血液検査によって診断されることからも分かるとおり、
これらの症状はすべて不健康な血液状態であることを意味しています。

ちなみに、『糖尿病』は、その名前から「尿に糖が出る腎臓、あるいは、膵臓の病気」と誤解されがちですが、尿に糖が出る、出ないにかかわらず、血糖値が常に高い場合は、『糖尿病』という名の血液の病と言えます。

また、『高血圧』、『高脂血症』、『糖尿病』と『内蔵脂肪型肥満』の4つがそろうと、血管壁を脆くして、血栓をつくる原因となる『動脈硬化』への死の演奏を奏でるという意味から「死の四重奏(デッドリーカルテット)」と言われ、それぞれの症状の程度は軽くても、これらの危険因子を複数持つ人は、心臓疾患を発症する危険性が高まるという研究結果が、国内外で相次いで発表されたことから、『マルチプルリスクファクター症候群』とか、『シンドロームX』、あるいは、『内臓肥満症候群』など様々な呼びかたがなされてきました。
そして最終的に、2005年4月に8つの医学系学会によって、『メタボリック・シンドローム』として日本国内での診断基準がまとめられました。

『メタボリック・シンドローム』とは、
         “内臓脂肪型肥満” と “不健康なドロドロ血液”

ビデオ 『メタボリック・シンドローム』
さて、2008年4月から開始された『特定健診』、『特定保健指導』の影響もあり、盛んに話題になっている『メタボリック・シンドローム』ですが、いったい何を意味するのでしょう?
新たな生活習慣病が発見されたと誤解されておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
実は、生活習慣病の複合型のリスク症候群である「死の四重奏(デッドリーカルテット)」と言われる従来の『高血圧』、『高脂血症』、『糖尿病』の診断基準に、内臓脂肪型肥満の診断基準を加えたものを『メタボリック・シンドローム』という名の概念としてまとめ、その診断基準を定めたものです。
2008年4月から始まった特定健診では、『特定保健指導』の該当者を選別するための診断基準となっています。

なぜ、内臓脂肪型肥満が問題になるのかですが、腸の外側にある腸間膜に蓄積される内臓脂肪は、皮膚の下に蓄積される皮下脂肪に比べ糖代謝や脂質代謝の代謝異常を引き起こしやすく、虚血性心疾患や脳血管疾患を引き起こす動脈硬化になる危険性が高まるためです。
ただ、内臓脂肪型肥満のことがあまりにも話題になったために、「腹囲の大きさが診断基準以下だから問題ない。」と勘違いされておられる方もおられるようですが、内臓脂肪はドロドロ血液の原因となる糖代謝や脂質代謝の異常を引き起こし、糖尿病や高脂血症の危険因子となるものです。
つまり、本質的な問題は、お腹のでっぱり具合ではなくて不健康なドロドロ血液です。
ですから、メタボリック・シンドロームの対象者でなくとも健康なサラサラ血液を維持することが本質的な生活習慣病予防の第一歩なのです。


メタボリック・シンドロームの診断基準
内臓脂肪型肥満
ウェスト周囲系 男性 85cm以上
女性 90cm以上
(内臓脂肪面積が100cm2以上に相当)
ウェスト測定は立った状態で、軽く息を吐いて、へその高さで測定する

以下のうち2項目以上
血中脂質 トリグリセリド
(中性脂肪)
150mg/dl以上
HDLコレステロール 40mg/dl未満
いずれか、または両方
血糖 空腹時血糖 110mg/dl以上
血圧 収縮期血圧 130mmHg以上
拡張期血圧 85mmHg以上
いずれか、または両方
血中脂質、血糖、血圧の診断基準は、『高脂血症』、『糖尿病』、『高血圧』の診断基準とほぼ同じです。

高脂血症 (脂質異常症) − 脂質過剰なドロドロ血液
それでは、メタボリック・シンドロームの診断基準のひとつであり、脂質過剰で不健康なドロドロ血液状態を意味する『高脂血症』とは、どのような症状で、どうして良くないのかお話します。
コレステロールや中性脂肪、糖質といったものは、細胞が活動するためのエネルギーとなり不可欠なものですが、現代の食生活における動物性脂肪や糖質、炭水化物などの摂取過多が、日常生活では消耗しきれないほどの過剰栄養素(過剰エネルギー)となり、血液中のコレステロールや中性脂肪、糖質を増やすとともに、体脂肪となって体内に蓄積され、肥満の原因となっています。

  • コレステロール:主には、細胞膜や副腎脂質ホルモン、性ホルモンなどの原料となるもので、生命維持に欠かすことのできないものです。しかし、血液中の過剰なコレステロールが、生活習慣病の重篤な病状を引き起こす原因となります。
    体内のコレステロール全体の7〜8割は、肝臓で糖質や飽和脂肪酸から合成されており、食事から摂取される量は、およそ2〜3割に過ぎません。

  • 中性脂肪(トリグリセリド):食事から摂取した糖質(炭水化物も分解され糖質となります)や脂質から合成されます。細胞の活動エネルギー源となるものですが、余剰分は肝臓や脂肪細胞(皮下脂肪や内臓脂肪)に蓄えられ、必要が生じたときにはエネルギー源として使用されます。過剰な中性脂肪が、肥満や脂肪肝の原因になるとともに、血液中の善玉であるHDLコレステロールを減らし、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールを増やすといわれています。

血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質(血清脂質)は、それ自体、水に溶けないため、蛋白質とダンゴ状に混ざり合わされたリポ蛋白となって血液中に溶け込み、全身を巡っています。
リポ蛋白は、その働きの違いによって、大きくは以下の3つに分けられています。
リボ蛋白(血清脂質)
  • LDLコレステロール − 肝臓で合成されたコレステロールを、体内の各細胞や組織へ運ぶのが役割の低比重リポ蛋白
  • HDLコレステロール − 血液中の余分なコレステロールや動脈壁に蓄積したコレステロールを回収し肝臓に戻すのが役割の高比重リポ蛋白
  • カイロミクロン − 細胞の活動エネルギー源である中性脂肪や脂溶性ビタミンを運搬する役割
余分なリポ蛋白は脂肪組織に運ばれてエネルギー源として貯蔵され、エネルギーを必要する際に取り出され、血液によって細胞へ運ばれます。

食生活の乱れ、肥満、運動不足、ストレス、飲酒・喫煙などによって、中性脂肪が過剰になったり、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスが崩れると、血液中の脂質(血清脂質)が増えてしまいます。これが、「高脂血症 (脂質異常症)」の始まりです。

「高脂血症」は、自覚症状がないため軽視されやすいのですが、『高血圧』や『糖尿病(高血糖症)』との合併症になる場合が多く、さらには、血液中の過剰なLDLコレステロールが酸化され『変性LDL』となって動脈壁に入り込み始めると、脳血管疾患や虚血性心臓疾患の原因となる『動脈硬化』へとつき進んでいきます。
気がつかないうちに動脈硬化が進行し、生命を支える体中の血管がボロボロになっていることもありますので、自覚症状がないからと言って決して軽々しく侮ってはいけません。

高脂血症(脂質異常症)の診断基準
高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール 140mg/dl以上
低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール 40mg/dl未満 メタボ
高中性脂肪(トリグリセリド)血症 中性脂肪(トリグリセリド) 150mg/dl以上 メタボ
コレステロールは、LDLコレステロールが過剰であること、あるいは、HDLコレステロールが不足することが問題であるとの見解から、2007年4月より従来の診断基準から『総コレステロール』の診断項目が削除され、LDL、HDL、トリグリセリドの3つの診断項目から『脂質異常症』と呼ばれるようになっています。

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